2
闇の中に一人残されたテッドは呟く。
「・・・・・お前は俺とは違う。長い道程の中で、共にいける人間もできるかもしれない。・・・・だから、負けるなよ・・・・。」
ラズロはテッドにとっての希望だ
だからどうかくじけないでほしい
「テッドくん」
「・・・・・アルドか。」
「うん、ジェレミーさんたちに陣を使った戦い方を教えてもらいにいくけど行く?」
「・・・・・・・・・・ああ。そう、だな。知識はあった方がいいか。」
テッドは頭を振って気分を払拭する。そして思い出した。
「・・・・・お前、さっきポーラとケネスといなかったか?」
「うん。スノウくんともいたよ?」
「なら何処行ったかわからないか?ラズロが―――」
「――――ああ、大丈夫だよ。何をしに行ったのかはわからないけど、何の為に行ったのかはわかるから。」
「・・・・・・・・・?」
アルドは笑って、それからジェレミーたちを見つけて手を振る
「すみません、よろしくお願いします。」
「よぉし!まかせろっ」
「よ、よろしくお願いします!」
「ゴホッ・・・・お力になれればいいのですが・・・」
「久しぶりね、アルド、テッド。」
ジェレミー、ミレイ、トリスタンに加え、フレアまでがそこにいる。
「関係ある属性をかき集めてきたから、練習になると思うぜ!」
「では、アルドさんはこちらに。テッドさんはジェレミーさんの方に移動してください。」
「は、はい」
「・・・・」
ミレイのいうことを聞いて移動する。
首を傾げたテッドを見兼ねてトリスタンが補足した。
「補足しますと・・・・ゴホ・・・お二人は『火』と『雷』に属されます。
ミレイさんが『火』で、ジェレミーが『雷』なので・・・。五行の力関係は覚えてますか?」
「はい。」
「・・・・もちろん」
トリスタンは頷きジェレミーに目をやる。
「すまない、張るぞ。」
「ああ」
一瞬ジェレミーは表情を硬くする。
トリスタンが何かの玉を取り出しジェレミーの周りに土の陣を敷く。
「ぐっ・・・入ってみろよ。」
言われるがままにテッドは茶色の陣に足を踏み入れる。
「・・・・っ・・・なるほどな・・・・。」
テッドが顔をしかめたのを見て、フレアが緑色の玉を足元に投げる。
風の陣になった為、ジェレミーとテッドはほっと息を吐いた。
・・・代わりにトリスタンの咳込みが激しくなったが。
「じゃ、次はアルドね。行くわよ?」
フレアはトリスタンと違い、左手の紋章の力を使い、水の陣を張る。
「・・・・・あぁはい、よくわかります。割と苦しいですね・・・。ミレイさんは大丈夫?」
「は、はい。大丈夫です!」
地面効果に影響されにくいのだろう。
アルドは若干目を細めるぐらいだ。
フレアはやはり風の陣の玉を投げつけた。
「で、本領発揮!いくぜっ!」
言ってジェレミーとミレイが陣を張る。
力が漲ってくる感覚になるほどとテッドは軽く頷いた。
「一つ一つはたいしたことはなくても、例えば今雷の陣にいるジェレミーが、今風の陣にいる俺に攻撃をしかけると
相当なダメージを与えることができます。・・・・見せましょうか?」
「ちょっと待てよ?!」
「いや、要らない。」
「だ、ダメですそんなのっ」
ジェレミーに止められるよりも前にテッドとアルドは首を振った。
「そうですか?」
「とにかく、レクチャーとしてはこんなものかしら。」
ト〜リ〜ス〜タ〜ン〜?!というジェレミーの怒りの声を聞きつつアルドとテッドはフレアとミレイに御礼を言ってその場を後にした。
「待って!」
そこへ、弓隊でお馴染みのフレアが駆け寄ってきた。
「ねえ、テッド、・・・・ラズロとさっき話していたんでしょう?何か―――」
「―――・・・・」
テッドがどう答えようか迷っているとアルドが笑う。
「フレア様、ラズロさんを思うなら、待っていたらダメです。」
「え?」
フレア、そしてテッドがアルドを見上げる。
「ラズロさんは優しくて、自分よりもみんなのことを想ってしまう・・・。ラズロさんが自分を一番大切だと思う日は
フレア様が生きている間は訪れないよ。
だったらラズロさんの周りの人が、ラズロを大事にしてあげなきゃ。」
「アルド・・・」
呆気に取られた。
アルドの言っていることが自分にも向けられているというのは想像に難くない。
「そう―――――その通りだわ」
テッドが何かを言う前に、夢から醒めたようにフレアは自分の手を見つめる。
「アルド、あなたはやっぱりすごいわね・・・。私、できるだけのことはするわ!」
フレアは高らかに宣言すると、自信に満ち溢れた表情で二人を振り返る。
「だから、貴方たちもくじけないでね。」
「・・・・・」
「はい、もちろんです。」
どこまでわかって言っているのか、フレアは軽やかに去って行った。
「――――――なぁ、アルド・・・・・」
「なに?」
「ラズロが幸せになれると思うか・・・・?
真の紋章を持ってて・・・不老で、もしかしたら誰かを紋章に巻き込むかもしれなくて・・・・」
これをアルドに聞くなんてどうかしている
肯定しないわけがないアルドに
だがアルドはゆっくり首を振った。
「―――違うよテッドくん。ラズロさんは幸せにならなくちゃいけないんだ。絶対に。
―――テッドくんも僕も、ありとあらゆる人がラズロさんのおかげで大切なことを学んだり、手に入れた。
・・・・・だから、もうそろそろラズロさんが幸せになっていいはずだよ。」
「・・・・・・・・・俺はアイツの為に何もできない。」
「そんなことはないでしょう?だってラズロさん言ってたもの。君がいることが救いになるって。」
「・・・・・・・・・・・聞いてたのか。」
「ごめん」
アルドは素直に謝った。
「確かに僕らは君と―――君たちと長く時を同じくはできないだろうけど、置いていくことに何も思わないわけでもないけど」
アルドはゆっくりと目を閉じた。
「君たちの幸せを心から願っているよ。それだけは断言できる。」
「・・・・・」
テッドは何も言えなくて俯いた。
「え?スノウさんたちならラズリルに。何かとても大切なことをしに行くっていって。」
「・・・・・・?そうなんだ・・・」
「ラズロ聞いてないの?」
「・・・・・うん」
キリルに聞くと簡単に答えが返ってきた。
「じゃあきっとラズロ絡みだろうね。」
「えっ?!」
「僕もほら、アンダルクの誕生日とかは内緒にするもの。
毎年セネカはアンダルクを脅かそうとするけど。去年なんか僕反抗期にされたよ。」
「へえ・・。」
あの従者はさぞ慌てたことだろう。
そこで含み笑いを浮かべていたキリルは表情を引き締める。
「だから、・・・えっと、あのチープーさんのクエストは騎士団の人以外でやらないとね。」
「そうだね。もう居場所が?」
「うん、ミズキさんたちが調べてくれて。メルセトじゃなくて・・・ミドーだって。」
いい淀んだキリルの表情でなんとなく察していたが。
「あー・・・キリルくんは苦手だもんねあそこ。」
「うん、本当はケネスさんとスノウさんには出てもらおうと思ってた。テッドとアルドさんは雷と火なんだよね。火か・・・」
キリルは危惧するが、ラズロはあまり心配していなかった。
「多分アルドは大丈夫だよ。弓使いだし。」
「そう?ラズロがそういうならそうなんだろうね。」
かくしてキャラバンはミドーへと移動していった
[ミドーの浅瀬]
必須メンバー・キリル、ラズロ、アルド(ゲスト)、テッド(ゲスト)
フリーキャラ・ジェレミー、トリスタン、フレア、キカ、シグルド、アンダルク、ノア、ユウ
計12名だ
「アルド、お前苦手陣地だけど大丈夫か?」
ジェレミーが心配そうに聞いてくるが、アルドは短く頷く。
「アルド、コレに乗って。」
そう言ってラズロがしめしたのは何かの鳥だった。
「イワドリっていうんだ。」
「え、ラズロ、そんないきなり練習もなしに?」
キリルは一応声を掛けるが、森で拾われたらしいその人は少し視線を上げてイワドリを撫でると
まるでいつもそうしていたかのように自然にイワドリの背に跨った。
「いい眺めだね」
「どう?アルド、テッドも乗れそう?」
「うん、大丈夫だと思うよ。」
「え?!俺も乗るのかよ?!」
心外そうにテッドは眉を跳ねさせる。
だがラズロが低く発した「軍主命令」の一言に思わずイワドリに手をかけ、もう従う必要がないことを思い出したときは
アルドの手を借りて上がった後だった。
「・・・・・高いな」
弓を射るには確かに丁度いい。
妙な障害物などもないから遠くまで射れる。
「テッド、アルド、回り込んで!」
「――ああ」
「わかりました!」
イワドリを上手く扱い、二人は商人の退路を塞ぐ。
二人きりで突き進む二人に剣を浴びせようとするやつらはシグルドの紋章により着実に排除されていく。
「シグルド、ユウ先生、フレア様に猫娘は下がってろよ!」
「『雷鳴の陣』!!」
ジェレミーとアンダルクは思い思いに陣を延ばす。
シグルドとユウは陣の外からやはり紋章やスキルで援護を続けていたし、フレアは得意陣地になり、テッドが降りたイワドリに上がった。
ノアは潔く戦線を離れ、仲良しのリタと交代する。
苦手陣地では無くなったため、アルドもテッドに近い場所に降りる。
背後に降り立つ音が聞こえてテッドは口を開く。
「おかしな気分だな・・・」
「なにが?」
「俺たちはこの組織に合流して間もないのに、もう後ろを預けちまうんだから。」
「うん、そうだね。でもテッドくんにだってわかってるだろう?」
「・・・・・仲間だから、っていいたいのか?」
「そう」
「・・・・・・・・」
二人ともそれ以上は言わず黙って弓を引き絞った。
戦いが終わった。
アルドが盗られたというピアスはアルドのもとに戻ってきた。二人のここにいる理由はそれで終わりだ。テッドが釘
を刺そうと口を開きかけたところで、姿をくらませてあたスノウたちが全力で戻ってくる。
「ラズロっ」
「スノウ、タルとケネスも・・・。どうしたの?三人揃って。」
「スノウが頼みがあるって言ってだなー。ケネスと一緒に来て欲しいって。」
「うむ、スノウが急かすから団長にすら挨拶できなかったな。」
「ご、ごめん」
「いや気にするな。俺としてもラズロに何かしてやりたいと思っていたところだ。」
謎のやりとりに突然自分の名が出て来て、ラズロは困惑を深めた。
「えっと・・・・スノウ?」
「ラズロに覚えていてほしいことがあるんだ。」
「覚えていてほしいこと?」
スノウはそういってしっかりとラズロの手を握る。
「・・・・・本当ならアルドのように君に付いていくといった方が正しい姿なのかもしれない。
けれど僕も、ラズリルで罪を償っていかなければならないから・・・」
「待ってスノウ、話がみえないよ・・・・?」
アルドとテッドは顔を見合わせた。
ラズロはタル、ケネスを順に見て、やはりスノウを正面から見据えた。
「ラズロ。例え君がどこに行こうと、戻らなくても、君の帰る場所がラズリルであればいいと思ってラズリルに家を買ったんだ。」
「・・・・・・」
ラズロの目は見開かれた。
「家・・・。」
「君はオベルの王とも懇意だし、オベルの方が本当はいいのかもしれない。・・・でも、ぼくは君に、ぼくのそばに帰ってきてほしいんだよ。」
「スノウ・・・」
「スノウの頼みってのはさ、俺達にもその家を管理してほしいってことでさ。」
「ああ、子々孫々にいたるまで伝えてほしい・・・とな。俺たちにだって子孫ができるかわからないのに。」
「ぼくより遥かに望みがあるだろう?」
スノウは肩をすくめてケネスやタルに言った。
「僕のために・・・みんな・・・」
スノウは口端を上げる。
「君はもしかしたら出ていってしまうつもりなのかもしれない。でも二つ・・・・言うだけいわせてほしい。」
呼吸も凝らしてやりとりを見つめるテッドに優しい手が添えられる。
首だけ回してアルドを見上げるが、アルドはそれに視線を合わせて、それから四人を見守る。
「ラズロ、君がどこに行こうとぼくらは待ってるよ。君の帰りを。
・・・・・でもね、本当を言うと、君にはここにいてほしい。」
ラズロはゆっくり顔を上げた。
「それが・・・・二つ目?」
スノウは頷いた。
「そう。」
ラズロの手をとりあの自信に満ちた笑顔で言い聞かせるように覗き込む。
「―――ぼくはこのぼくの名を冠した剣で、君を守ってみせる。
・・・・・今度こそ、逃げないよ。もう二度と君を見捨てたりしない。だから、・・・・・」
尚も言いかけたスノウは不自然に言葉を切った。
「・・・・・いや、これ以上は君の決意を鈍らせてしまうね。」
掴めそうでつかめないスノウの真意は、ケネスが代弁した。
「要するにスノウが言いたいのは、お前と共にある困難などたいしたことはないということだ。」
「もちろん俺らもな。」
ラズロは目の前の友に抱き付いた。
「わわ、ラズロ?!」
「―――僕・・・・っスノウたちと一緒にいたい・・・・!」
ラズロの言葉に全員が息を呑む。
本音だけをいえば
ラズロはこの群島にいたいのだ。
スノウや、タル、ケネス、ポーラ、ジュエル・・・リノやキカ、フレアたち、みんな
ラズロはもともと海から流れてきた
言わば海の子どもだ。
ずっと流されるように生きてきたけど
今初めて自分のいたい場所
生きていきたい場所を口にした気がする。
ばんっ!と背中を叩かれ仰ぎ見れば、タルの男らしい笑顔があった。
「なぁラズロ、俺と一緒に漁に出ようぜ!お前も釣り好きだったろ?」
「もちろん騎士団にも貢献してくれるよな?双剣の扱いも教えてやりたい。」
首を廻せば端正なケネスの微笑が。
「タル、ケネス・・・・」
「そーだよ!ラズロ!!どっか行っちゃうなんて言わないでよ!」
「・・・・寿命だって、わたしだってジュエルたちより長いのです。何も気にすることはありません。」
逆側にはいつからやってきていたのか、ジュエルやポーラが少し涙ぐんでたたずんでいた。
反射的にラズロの背に廻されたスノウの腕が強くなった。
「ラズロ、ぼくたちはずっと一緒だった。・・・今更居なくなるだなんて言わないでほしい。」
「・・・・・・・・・」
そっとラズロは瞳を閉じる
これまでの長いラズロの戦いが瞳の裏によぎる
そう、いつだって
―――自分は一人ではなかった
ラズリルに流れ着いたときはスノウが
流刑にあったときもケネスたちが
戦いが終わった後だってリノたちが
自分のそばにいつもいてくれた
「みんな・・・・」
ラズロはようやく心を決めた。
「ありがとう。・・・・・僕みんなと一緒にいるよ。
ラズリルや、オベルやナ・ナル・・・いろんなとこには行くかもしれないけど・・・・・でも、スノウたちと一緒にいる。
―――それが辛い思い出になるとは思えない。」
軍主をしていたときには見せなかった笑みでラズロは言った。
その表情には一点の曇りもない。
「僕は君たちのそばにいる。」
その感動的なやり取りを少し遠巻きに見守る二人がいた
テッドとアルドだ
「ラズロさんよかったね。」
「・・・・・・・さぁ」
よかったかどうかはテッドにはわからない。
だが、今ラズロが幸せだというのならいいのだろう。
「・・・・・・・。」
「行く?」
「ああ」
テッドは弓を背に抱え直した。
「再三言うけど、お前は残っていいんだぞ。」
「僕はテッドくんと行くよ。・・・スノウくんはああ言ってくれたけど、僕はいつだって僕のためだけに君についていくんだよ。」
迷いなくアルドは首を振った。
テッドは気がついていないだろうが、以前だったら『残っていい』なんていう言い方はしなかった。
少しずつだが、テッドに自分が浸透していくのがわかる。
だから
「テッドっ!アルドっ!早いなもぉ行っちゃうの?!」
「せめてもう一晩泊まっていきませんか?」
空気の違いを読むのに長けたWリーダーが駆けて来る。
「ラズロ」
「キリルさん」
テッドは足を止め、頭を振った。
「長居しすぎたぐらいだ。俺はもう行く。」
「あっ!忘れてたっ」
素っ頓狂な声をあげてアルドはキリルに駆け寄ると何か訴える。
会話は聞こえないがキリルは力いっぱい何か否定している。
「今―――幸せか?ラズロ。」
「今はものすごく幸せ。過去に類を見ないぐらいには。」
「・・・・そうか」
二人の仕草を見ながらテッドはラズロに問いかけた。
「・・・・・テッドは?」
「・・・・・・・・」
逆に尋ねられてテッドは眉をひそめる。
向こうではアルドの勢いに負けて何かを受諾し、おそらくありがとう、と呟いてるキリルと満足げなアルドがいる。
「今は、悪くはない。・・・・けどすごく怖い。」
「僕もだよ。慣れない幸せが来ると却って怖くなるよね。」
「・・・・・・・そうなのかもな。」
テッドは何かに耐えるように目をつむるが、小走りに戻ってくるアルドの足音を聞きつけ頭を振る。
「ラズロ」
「なに?」
「―――幸せに。」
「・・・・・・・・・・テッドもね。」
「テッドくんおまたせ!」
「別に待ってない。・・・・・行くぞ。」
「うん!それではラズロさん、お元気で!」
「あぁ、うん。アルドとテッドもね。」
「っはい」
うん、いい返事だ。
ラズロは苦笑いをして手を振る。
こうして手を振るアルドは、本当にまた次に会えるような気がしてしまうのに。
――――ああ、でも・・・
テッドの後を付いていくアルドの表情を見てラズロは思いを改める。
「・・・・・・アルド・・・・」
その心はどこまでも澄んで
彼の心を護ろうとする
だけど
それが
自分を護ることはない
ラズロは遠のく二人の背中に手を組む。
「どうか―――彼らに幸あらんことを・・・・」
もうキャラバンの音が聞こえなくなったころにテッドは同行者を振り返った。
「さっきの・・・・・・・・礼か?」
「当たり。」
アルドの行動パターンから簡単に予測できる。
だが、さっき気がついたのだが財布はテッドが持っているはずだ。
「でもお前金なんか――――あっ!」
そして目に入った違和感。
「お前ピアスっ!!」
「うん、なんかセネカさんいわくこっちの地方ではお金になるらしいよ。
だったら丁度いいかなって。ほら僕たちが行くところでもそうとは限らないし。」
「だからってお前なぁ・・・・・・」
テッドはアルドの耳を引っ張る。
「いたっ!痛いよテッドくん・・・」
「もういい。ったく・・・。」
「怒ったの?」
「違う。―――けど気付かないと思うなよ。わかってるんだからな。」
「え」
アルドは虚をつかれて言葉を失う。
そう、ピアスを手放したのは何も礼のためだけではない
ピアスにまつわる村の風習をテッドに教えてしまったことにも起因している
テッドが不安そうにしたのを見て、しまったと思ったのだから。
テッドのわかっていることが果たして本当にそこなのか、それ以上なのかはわからないにしろ
アルドがテッドを理解していくのと同じように、テッドもまたアルドに対する認識度が高くなっているようだ。
気をつけなければ。
「・・・・でもきっともう一つの理由までは気付いてないだろうな・・・」
こっそりアルドは呟く。
―――できるだけ遺留品は残したくない
もしもテッドにとって自分との思い出が辛いだけのものになってしまうのなら
自分のことはいっそ忘れてしまってほしいと思うから
それが、唯一のテッドの為の保険
「後は殆ど消耗品だし、弓は重いし大丈夫だよね・・・。」
「何が?」
「うわっ!ごめん声に出てた?!」
「消耗品辺りからな。」
「そっか。あ、気にしないで。他に盗られそうなものを見分してただけだから。」
「ふぅん・・・」
人の目をみないテッドはアルドの嘘を見抜けない。
そう思っていたけど、用心しておかなくては。
「みんなが幸せになれたらいいのにね。」
「・・・・・・・この上なくお前らしい言葉だな・・・。」
「そう?」
「ああ、いつもならげんなりするとこだけど―――まぁお前だししょうがないかって気にはなった。」
「うーん・・・それはほめ言葉と捉えてもいいのかなぁ・・・。」
君たちが向かう先に
幸のあらんことを・・・・・
08/01/10
お分かりかもしれませんが
この話はアルドとテッドがラプソにいたらこんな感じの能力もちではないだろうかというのが書きたかっただけです。
要は
・お互い好感度キャラ(庇う庇われあり)
・会話もあり(きゃ♪)
・協力攻撃あり(だって乱れ撃ちがあって弓矢攻撃がないのはもう彼らの為でしょう?)
・陣地は実は適当。(弓矢にいなかったのが雷と火だったから・・・アルドは雷苦手だし・・・。火の飛び道具実際欲しかったし)
・イワドリだってラクラクさ!(竜の次ぐらいに楽しいでしょう。)
そんな感じ?
でもやっぱり、アルテドもそうですが、ラズロにも幸せを感じてもらいたいですよね。
最後の願掛けはアルドじゃなくて私の心かもしれません。
弥生月